当社は、古来より常に清水が湧き出て小池となしておりました。
往年祭事として境内に桶を数箇設置し、遠近各地より信仰者が競って斎戒沐浴し、その御神徳にあやかる一面、敬神崇祖の至誠を捧げる事を誇りとし、水甕を奉納して参詣する人々が絶えず、盛儀を極める神事があったと伝えられています。
大正の御代には「井戸水が萬病に効ありとて近郷近在より日夜數多の患者詰掛け居れ」、「評判益々拡がり我れも我もと押しかくる者日々数百名に達し大雑沓を極めた」と当時の新聞に記されています。
また当社は「さらみや」(新宮)と称されます。この由縁は、〝身も心も真新しくなる〟との意味です。浴びても、飲んでもその御神徳をいただける奥田神社『熊野大権現の御神水』として、汲んで神前にお供えし、お参りの後にこれを受け、自宅で用いる崇敬者は現在も絶えません。